くしやきさんが好きをお届けするブログvol.12【仕事してないキミがすき】
好きに生きるために仕事をしたり、好きな仕事に生きたり。
働き方にもいろいろとありますが、けれどいずれにせよ仕事は生きてやるものだと忘れないようにしたいものです。
生きていれば、とびきり可愛い少女と仲良くなったりすることもあるかもしれませんしね。
①概要
今回読ませていただいた【仕事してないキミがすき】は、夜桜ソラタ 様によるWeb漫画です。安定のニコニコ静画さんですよ。やったね。
27歳で仕事をしていない「きいち」と、突然一緒に住むことになった少女「ののん」の日常漫画です。
社会人を続けられなくなってしまった彼と、両親ともに過労で失った彼女……どちらもやや重めの人生を負うふたりではありますが、物語自体はそこまで重々しいものではありません。少なくとも後味はスッキリ。
それぞれに傷を負った登場人物たちがささやかな日常を通して傷をいやし、そして成長する姿を描いています。その中でシリアスな場面もいくらかは登場しますが、全体としてはとてもポジティブな作品だと思います。
物語は『仕事』によって両親を失ったののんと『仕事』をしていないきいちが出会ったことで始まっていきます。
こんなファーストインプレッションから始まったふたりの関係。
一緒に過ごす中で仲良くなるふたりのもとに、きいちの兄である『いっけい』が出張から帰ってきます。
彼がののんにただならぬ感情を向けているっぽいので、きいちはののんを護らねばと決意するのでした。
そんな三人を中心に描かれるのが今作です。
例によって例のごとくほかにも魅力的な人物との出会いが待っているわけですが、それは読んでからのお楽しみということにしましょう。
②登場人物紹介
さてまずはこの方。
仕事してないきいちさん。そのことに強い罪悪感を覚えていて、無邪気なののんの本心にときたま心臓をえぐられます。
彼はすこしまじめすぎて、そしてすこし不器用で、自分のことに鈍感なところがあります。仕事をしていない、というのはそういった部分に関係することで、そんな自分を彼はとても卑下しています。
けれど物腰穏やかで優しい彼をののんもすぐに大好きになりました。それに全体の動作は不器用でも指先はとても器用だったり、得意なことだってもちろんあるわけです。
ののんや周りの人たちはそれを知っています。
しっかりと考えて、自分の言葉を持っているところも素敵ですね。
今作における中心人物は彼です。
成長した彼が、家族や友人たちに支えられながら、前を向いて歩いて行けるようになるまでが描かれています。
そんな風に支えてくれる人がいるという時点で、彼自身もまた素敵な人であるのは間違いないことでしょう。
続いて、そんな彼を照らす太陽となる方。
過労によって両親を失ったののん。
仕事というものにトラウマを抱える彼女は、きいちが仕事をしていないことを本心からうれしいと思っています。それはたまにきいちを抉りますが、自分のためにと頑張ったから死んでしまった両親という体験は、彼女の心に深い深い傷を残すのには十分すぎるものでした。
仕事へのトラウマはきいちとののんにある意味共通していて、そしてきいちがそれを乗り越えていくこの物語の中で、彼女もまたそのトラウマと向き合うことになります。
仕事は恐ろしいけれど、しなければ生きていけない―――それを理解できるだけに敏い彼女が、どうやって折り合いをつけるていくのか……今作の要点のひとつです。
それはそれとして彼女はとてもかわいいです。
かわいいです。
はい。
見た目はもちろん中身もかわいい。
きいちのネガティブ発言を一撃で浄化する超肯定力。
自己肯定感が低すぎるきいちには こうかは ばつぐんだ!!
ともすればダメ人間製造機になりそうな彼女ではありますが、きいちにはちょうどいいくらいですね。
そのわりに微妙にフォローが下手だったりたまにドストレートにぶち抜いてきたりと、ただただ都合がよく甘いだけでないあたりがとてもかわいい。
そして最後に、そんな彼女の魅力にやられたこの方。
彼の名はロリコン。見ての通りのいっけいです。
こんなでも彼はとてもいい兄で、過去が語られるたびに印象が変わっていきます。
が、それはそれとしてののんが大好きすぎる。
いい兄だし、きいちの今を作るとても重要な人物だし、なんだかんだ優しいし頼れるしかっこいいんだけど、それはそれとしてののんが好きすぎて手錠を構えておきたくなる。
2 人は太陽に近づきすぎると脳から溶けるらしい。
コミュ強のアクティブロリコンとは彼のこと。
ただなんども繰り返しますが、彼は最高にいい兄なんです。
ほんとに。
だからとりあえずせめて3話、それから15話くらいまでは通報しないで上げてください。そのあとはまあ……止めませんが。
③見どころ
こんな三人を中心に描かれる今作。
見どころとして挙げたいのは、登場人物たちです。
今作の登場人物たちはみんな、とても優しい人達ばかりです。
けれどその優しさの形は誰もが違っています。
そして相反する感情の葛藤だとか、一種の理不尽さだとか、悩みだとか、考え方の違いだとか、彼らの持つそういったものが、とても生きています。
彼らの言葉はどれも彼らの言葉なのだという納得感と説得感があります。
だからその関わりの中で成長する姿にはリアルがあって、自然と応援したくなるし、みんなのことをたまらなく大好きになってしまいます。
作品としても、登場人物たちとしても、愛さずにはいられない。
そんな魅力が今作にはあります。
物語を作るのはやっぱり登場人物なんだなぁと、そう強く思う、とても優しい物語です。
そんな【仕事してないキミがすき】は、改めて言いますが、無料で読めちまえます。
しかも今作の番外編、思い出話という体で語られる短編集【といろフィルム】もまた同じく読めちまえます。
読者ひとりにつき100円稼げるシステムとかもないのに……
もっとギフトとか募集して……ええんやで……?
もちろんお金を出さずとも、『読んで、感想を伝える』というだけでもきっと創造神様方の原動力にはなるはずです。みなさんも軽率に信仰していきましょう。
なんの宣伝だよ。
ところでひとつ注意です。
ニコニコ静画には、動画と同じくコメントが画面を流れるというシステムがあります。これはなんだかみんなでわいわいやっている気分で悪くないですが、今作においては―――少なくとも序盤は、コメントは非表示にしていることをお勧めします。
なにせ『仕事』という誰あれ彼あれ思うところある題材ですから、少々白波が立っております。中には多分気分を悪くされる方もいらっしゃると思いますが、そんな些細なことでこの名作を読み逃すのはとてもバカらしいことですから。
そんなこんなで。
以上、私の大好きについてでした。
次の大好きでお会いしましょう。
さて、神へのお供えのために働くぞっ
くしやきさんが好きをお届けするブログvol.11【TRAP】
―――震えるほどの衝動―――絶え間なき欲求―――魂の慟哭―――
肺を掌握する熱意と、声帯を震わす激情とを、吐き出すだけの器官と私は成り果てる。
こんなにかわいい子が女の子なはずがないッ!
というわけで今回読んだ【TRAP】は男の娘アイドルBL漫画です―――と、語り始める前にちょっとブログの構成について触れることにします。
というのもこれまでなんとなく思いつく限りでやってきたのですが、好きなものの魅力を伝えるにあたって私の行き当たりばったり力はあまりにも足りていないとそろそろ思い立ちました。
なので今回から、①概要 ②登場人物(とか)詳しく紹介するとこ ③見どころ という大まかに分けて三つの要素で構成していくことにします。
意思表示、だいじ。
というわけで。
①概要
改めて、今回読んだ【TRAP】は男の娘アイドルBL漫画です。
二重いち実 様によるWeb漫画で、ニコニコ静画さんで絶賛連載中になります。現時点(2022/06/08 06:42)で171話まで読むことができます。四の五の言わずに人類は全員ニコニコ静画のアカウントを取りましょうね。
今作ではタイトルと同じ『TRAP』という男の娘アイドルユニットを中心に話が展開していきます。
アイドルとして成り上がっていくぜ! という努力のストーリーというよりは、周囲の人たちとの人間関係が主軸な気がします。もちろんアイドルとして成長していくメンバーたちは可愛く格好よく美しく、応援したい気持ちでいっぱいになれること間違いなしですが。
ところでTRAPというのは、スラングで男の娘を意味する言葉です。
が、そもそもTRAP=罠という意味の単語なのでそこにはどこかネガティブな意味が感じられて、もしかすると気分を害する方もいるかもしれません。
先に謝っておくと、私にその共感性はないし、実際にどう思うかと思い馳せるほどの想像力もありません。ごめんね。
ただ私の印象としては、今作において彼らがネガティブに描かれているとは全く感じませんでした。
少なくとも彼らをトラップみたいに描くようなことはないです。
むしろ性別に関係なく、可愛いでも綺麗でもカッコいいでも、各々の好きを目いっぱい楽しむ彼らの姿はとても素敵だなぁとそう思いました。
超主観です。しかしここは感想を垂れ流す場なのでむしろそれが本意……ッ!
さておき。
先述した通り人間関係が主軸な気がする今作。
なにせBLと説明されるだけあって愛要素がマシマシ。
とはいえ恋愛的な関係性だけではなく、友情だったり憧れだったり、名前を付けるのが難しいなと思えるやつだったり、いろいろな愛の形があります。愛以外もあります。
メンバーそれぞれにそういった相手が(ともすれば数人)いて、関係が変わったり変わらなかったりしつつ、たまにはこじれたり絡まったりしながら物語は進んでいきます。あれが解決したと思ったらこっちでなんか起こってて、もちろん新しい人が入ってきたらさらにややこしく……人間関係って面白れぇよな……! 創作で読む分には……ッ!
そんな物語を描くうえで、やはり特別というか、今作の特徴は『男の娘』という属性でしょう。
創作における男の娘というキャラクターにも、造形は女性だけど生えてるタイプだとか、中性的から女性寄りなナチュラルタイプだとか、美形を活かして装いで魅せるタイプだとか、いろいろといます。
今作ではどちらかというと魅せタイプが多い気がする。
服装によって大きく印象を変えてくるのが素敵だし、それを要所要所で魅せてくれるのでたまりません。格好良くて可愛くて綺麗で美しいとか、人体の結末じゃねえかよ。
あなたにとっての男の娘の定義はいったん脇に置いてくださいね。キリがないので。
といったところで、そんな魅力的な彼らのことについて語っていきましょう。
②登場人物紹介
さて人物紹介ですが、やはりネタバレとかを避けていく以上すべての人物を挙げるのも難しい話です。
なのでとりあえずメンバーとマネージャー、あとは最序盤で登場するレギュラーの人達をちょびっとだけ紹介します。
本当はヤツとかあの子とかアイツとかあの方とか紹介したい人はもっとたくさんいるんですけど……さすがにVo.11.2とか行くわけにもいきませんし。っていうかそれやるならこれまでのヤツも第二回とかやりたいし。ここは涙を呑んでいきます。
まずはメンバーの最年少、ツインテにゃんこ『本田マヒロ』くん。
アイドルフォームのときはロングなツインテールを魅せてくれる彼ですが、普段はこうしたショートヘアらしいです。
もしかして:かわいい
高校生らしからぬほどあどけなさを持った純粋にめちゃくちゃいい子。
後述する同級生のいいんちょさんも、天然な彼には振り回されがちです。
ほかのメンバーと比べて特別が外から目立ちにくい彼は、自分だけ個人の仕事がないことに悩んだりしつつ、それでもグループがもっとみんなに知られるために自分から企画を持ち込んだり、めいっぱい努力をする姿が素敵です。
それを覗き見れるっていうんだから読者ってのはほんと、最高の席にいるファンですよね。
つづいては、クールなメガネっ子『津山けい』くん。
クールキャラが最初の人物紹介以降は二度とツラを見せないことでおなじみの彼は、それとないアホの子っぽさと適度なガサツさと少年魂を持った年少組のもうひとりです。
良くも悪くも単純なところがあって、こう、男の娘男の娘してない(?)。
だけど誰よりも自分カワイイッ! を前面に押し出すタイプで、なるほどたしかにこの子かわいいんですよ。そのあたりにも色々と理由があったりしますが、かわいいに貴賤はないのです。
そんな彼には家族想いな面があって、意外と家庭的だったりもします。
後述するしゃっちょさんも、彼のオカン力と圧倒的ポジティブの前にはなすすべなしです。もちろんそんな彼が落ち込んだりするときには……ね。ふふふ。
さてさてお次は、ふんわりおっとり『城野かえで』さん。
成人組のひとりである彼は、メンバーの中でもっとも強い。
強い。
ごらんのとおりです。
日ごろからわりとふんわりおっとりしていますが、どちらかというと一番大人だという印象。意外と世話焼きさんで、しかも人間関係に敏いところがあるので相応に苦労をしています。そういうところもなんだか大人。そうなるだけの過去があったりなかったり……
陰に日向にとじれったい恋愛を後押ししたりしつつ、無自覚に見せつけられるイチャラブにたまにイラっとしたりというまるで親友ポジみたいな彼ですが、一方でややこしいやつを引き寄せるタイプでもあります。
面食いで小悪魔で気が効いて、そのわりに自分への感情には疎いとかいう人物なのでそれは仕方のないことかもしれませんが。
そしてメンバーの最後に、リーダー『西島あつみ』さん。
普通にしてても高身長のイケメンなんだからそりゃあ着飾れば目も当てられねえよ。まぶしすぎて逆に。
という感じの人。
格好いいし、ビビるほど綺麗。そしてある時期からは妙なフェロモンも滲ませ始めて色気に溢れる……なんかこの人だけ漫画のジャンル違くない……?
という感じの人。
しかも作中での恋愛関係においても過去の恋愛においてもシリアス力が強すぎる。
そのくせ微妙に鈍感だし。
乙女ヂカラもすごく、嫉妬とときめきの分量が少女漫画のソレ。
この人単体で可愛いも格好いいも綺麗もこなしてるっていうんだからさすがはリーダーやで。いやもちろん、ほかのメンバーも可愛いし格好いいし綺麗なんだけど、なんかこの人は……別なの……分かって……
そんな彼らに欠かせないのが、マネージャーさん。
TRAPの所属する事務所のマネージャーである彼は、グループのために蔭に日向にと奔走する……だけでなく、メンバーたちと同じ今作の主役のひとりでもあります。
かえでさんとあつみさんを交えたこじれ三角形(?)が序盤のメインと言っても過言ではない。そもそもその三人で同居している時点で……ね。波乱しかないでしょう。
といっても、あまりドロドロして暗い気分になるような感じではありませんので、その辺りはご安心ください。
もちろんマネージャーとして奔走する彼の頑張りや、たまに空回って年少組にぽこすかされる姿はついつい笑って、応援したくなるものがあります。
たまぁに見せる頼れる大人を、もっと発揮できればいいんですけどねぇ……。
どちらかというとこの人、抜けてる側の人なので。
そして欠かせないといえば、アイドルものといえばファンの存在。
そして中でもマヒロくんの大ファンである、委員長『相原貴志』くん。
キラキラと輝くマヒロくんを、学友として友人としてファンとして応援する好人物。ガリ勉のマジメ君(運動もできる)といった感じで登場するわけですが、それだけでなく人間ができているという印象を受けます。
大人である、というわけではなく、思春期の少年としての未成熟も間違いなくあって、だけど自分や周りと誠実に向き合いながら成長していく姿は別の物語なら単体で主役張れるくらい。
マヒロくんと彼の関係はほんと、一生応援していきたい……むしろ推させろ。
そして、この人もこの人で大概です。
なにせ可愛いを伝えるのにためらいがない。
学校だろうがお外だろうが迷いなく目を見てかわいいと言えるタイプの天然。
しかも言いまくる。
そこに下心だとか世辞が全く感じられないのがヤバい。
ある意味マヒロくんと同じくらい純粋すぎる。
さて、そんな彼と対称的なくらいに拗れた大人で最後にします。
アイドルものにありがちな仕事くれる偉い人、大手化粧品会社の社長『東恭一』さん。
ファーストインプレッションからクソ野郎ムーブをキメるこの人。
顔からして俺様系で肉食系、そして実際にその通りな振る舞いが目立ちますが、ただ残念ながらこの人も枠としては「かわいい」です。特殊な例ではありますが。
そんな感じの人。
このほかにも、事務所に新しく所属するイケメン君やら、共演する子役やら、あるメンバーの元カレやら、秘書さんやら……いろいろな思惑と関係と勘違いとがまぜこぜになって、とても面白い物語が繰り広げられて行くのが今作です。
それらをすべて紹介したいけれど、ネタバレはあまりしないようにしたいのでここまでにして。
③見どころ
最後に今作の見どころを!
といっても、すでに結構語っている気がしますが……
あえて挙げるならば、今作がわりとガッツリBLモノという点ですね。
変に清らかでもないし、カップルによっては普通に同衾するし、こじれるしからまるし、でもまぶしいくらいの青春もあって、嘘だろっていうくらい大人の恋愛するし……色とりどりによりどりみどりな彼らの関係性は、誰に注目しても素敵です。
そしてそれらが同じ漫画の中にあるのに、どれもがみんな魅力的。
単推しもハコ推しも好き放題です。
どうしてこう、この人数を違和感なく全部書けるんだ……意味わかんねえよ……
と。
いったところで、おわり。
最後にもう一度URL貼っておきますね。ぺたり。
それにしても、やっぱりこうして分割してコレ! ってやると書きやすいですね。
おかげで文字数が……前のも書き直すか……?
ともあれ。
以上、私の大好きについてでした。
次の大好きでお会いしましょう。
くしやきさんが好きをお届けするブログvol.10【おれの聖剣を妹が抜いた】
勇者であることと善人であることは関係がありません。
正義を執行するにあたって人間性さえ切り捨てられるのなら恐れを知らぬ勇者です。
また善人であるから優しいというわけでもないでしょう。
自分にとっての、あるいは社会や世界にとっての善きことが目の前の誰かにとってもまた善きことであるなど不遜が過ぎるという話です。
御託はよして、優者の話をしませうよ。
今回読んだ【おれの聖剣を妹が抜いた】はまるろう 様によるちょっとえっちなラブコメであり、頼りない兄としっかりものの妹のホームコメディであり、そして最高に熱く優しいファンタジー作品です。
今作は全体的に線が少なく、その分キャッチーで愛らしくカッコいいという素敵な絵で構成されています。
複雑さはないのに個性的な人物・モンスターがいっぱいで、読みやすく、覚えやすく、判別しやすいと、漫画をあまり読まないぞ、という人にもおすすめです。
しかもなんと完結までの全342話がニコニコ静画さんにて無料で公開されています。
ほかの作品もそうですが、なんでこうニコニコ静画さんには野生の神様がうじゃうじゃいるんでしょうね。さすがは八百万の神がいると噂される国といったところでしょうか。
さて。
今作の主人公であるアニオは、とても頼りなさげで、ちょっとエッチで、努力が嫌いで、基本的に他力本願で、察しが悪くて、ぐーたらで、言い訳がましく、根性なしで、バニー劇場に向かうときの男前顔が全編通して一番であり、そのくせ見栄っ張りという人物です。
そんな彼は住んでいる村の外れにぶっ刺さっている聖剣(抜いたら勇者になれる)を抜くために妹同伴で毎日せっせこ3年間通い続けますが、ある日妹のモモにあっさりと抜かれてしまいます。
しかし兄の情けない姿が三度のおやつより好きそうな彼女は兄が聖剣を抜いたことにして彼を勇者に仕立て上げます。
かくしてなしくずしに始まる偽勇者の物語。
とはいえもちろん彼は彼なので、順風満帆とはいきません。
スライムを倒せるようになったと喜んでいたらゴブリンにさえ負ける。
仲間にした武道家には「邪魔」と言われる。
モグラには埋められる。
幻覚作用でおぽちゅにてぃ~する。
見ただけで相手の強さを推し量る力を持った部族からはゴミ呼ばわり。
舞台となる東西南北の国の囚人服をコンプリートする。
などなど、挙げ始めればキリがない情けなエピソード。
そんな人物なのに、当たり前のように優しいのが彼のいいところです。
たとえモンスターとの戦闘でズタボロにされても妹のためなら仕方ないとあっさり言ってみたり。
窮地に陥っている人なら、それが敵である味方であるかなど―――そして自分よりも強いか弱いかさえ関係なく身を挺してかばおうとしてみたり。
誰かを助けるための努力はめちゃくちゃ嫌がるのにしない選択肢はなかったり。
神聖なまでの善意だとか、勇者としての誇りだとかそういうものは彼にはありません。ただただ目の前に困っている人がいるなら手助けをしようとするという当たり前の優しさを、敵味方だとか強大さとか規模とか関係なく発揮するのが彼の素敵なところです。
落とし物を拾ってあげるくらい当たり前に命を救う、みたいな。
そしてなにより、彼は兄として妹のことをとても大切に思っています。
今作における最重要人物である妹のモモ―――戦闘能力も高くとても優秀な彼女とともにありながら、アニオはひたすらに兄であり続けます。劣等感や嫉妬などひとかけらもなく、むしろいいお兄ちゃんであろうとするために(ぐうたらながらも)頑張ります。
アニオはだらしない兄で、モモはしっかりものの妹。
だけどふたりは、とっても仲良しの兄妹。
これが今作の一番重要なところと言っても過言ではないかもしれません。
彼が彼でなければあのエンディングにはきっとならなかったことでしょう。
物語を追って、呆れたり笑ったりしているうちに、いつしか私たちはアニオのことを応援したくなって、そしてたまに見せてくれるカッコいい姿にたまらなく震えて、世界の危機が訪れたってきっと彼ならやってくれるさとそう思えてくるようになります。
最初のころはバニー劇場で鼻血をだして気絶するようなだらしないやつだったのに……
そんな彼以外にも、この作品の登場人物には魅力的な方々がいっぱいです。
明確に「コイツ悪人だな」とか、「この人は完全無欠のヒーローだ!」という人物がほとんどいないかもしれません。
魔王サイドも勇者サイドも、それぞれがなにかを抱えていたり、事情があります。
コミカルでコメディ色の強い作品なのに、人間が人間臭いというか。
戦いが終わるころには、それがどんな決着であれ、読者は敵も味方もすっかり好きになってしまうような……そんな場面ばかりです。
人物によっては、たった一話で印象をひっくり返されて号泣させられたりします。
最強の漫画か……?
しかも後半になるとどんどんバトル展開が増えます。
最強の漫画か……
しかもしかも最近作者様は新作を連載中です。
最強の漫画家……ッ!
はい。
といったところで。
相変わらずこう、好きなものを紹介するための構成力がなさ過ぎて泣けてきますが、とりあえずそんな感じです。
以上、私の大好きについてでした。
次の大好きでお会いしましょう。
くしやきさんが好きをお届けするブログvol.9【BLUE LIGHT(forteフヲルテ 様)】
毎日毎日ブルーライトを眺めて目を酷使しているであろう慢性眼精疲労な皆様。
時には音楽なんか聴いて気分をリラックス―――なんて文言は無限回も見聞きしたことと思いますが、まあそう言わずちょっと聴いて行ってください。
今回お聴きした【BLUE LIGHT】はforteフヲルテ 様による楽曲です。
【BLUE LIGHT】
Music forute
Illustration ふろく
Movie Sκγ
作者様のMONOTONE NIGHT SERIES 第二作らしく、ほかの曲もまた素敵なのですが、私が作者様を知ったきっかけがこの曲でした。
もとはYouTubeの広告で聴いて「え、YouTube広告って宣伝効果あるんだ……」と驚愕した一曲でもあります。一聴き惚れですね。
ボーカルは電脳の歌姫である初音ミクさん。
静かでお洒落なメロディに乗せて淡々と……それなのにむしろ感情的に思える大人っぽい声音で歌い上げてくれます。
私は音楽には疎くて賢しいことは言えませんが、聴いているとボーカロイドさんによる感情の表出にはいくつかのやり方があるような気がしています。
それは例えばビビるほどに自然な調声であったり、差し込まれるブレス記号であったり―――この曲では、歌詞と曲調によってミクさんの息遣いが生まれているように思います。
冷えた青い炎に燃えていくだけの怠惰な人生を歌う、たぶん学生の歌。
壮大な何かだとか、刺激的な日々だとか、そういうものはここにはありません。
受動的に何かを求めながら無意味にSNSのタイムラインを眺める、ただの日常があるだけです。だからこそむしろ抑揚を薄く淡々と歌い上げるようなミクさんの調声にこそ人間味があって、説得力があります。
とか。
なんか賢しげなことを言ってみたんですけど、とりあえず聴いてください。
音楽に関してはもうそっちのほうがいい気がしました。
私の感性と語彙力ではまともに好きを伝えることさえできやしないんだ……
めっちゃいい曲です! あとPVの絵が好き! かっこかわいい! オッドアイがたまらねぇ! 火がぶぉってなるとこも好き。いい曲っ!
はい。
今後もいろいろと音楽を紹介していきたいんですけど、たぶん語彙力の限界はこんなもんです。よろしくお願いします。
私は見くびってもいいですけど作者様は見くびるなよ……ッ!
以上、私の大好きについてでした。
次の大好きでお会いしましょう。
くしやきさんが好きをお届けするブログvol.8【カフェたいむ】
どうあがいても変えられないことは確かにあるのだ―――君は運命を信じるか。
答えになど価値はない。
なぜならそれは思う思わざるに関わらず、あるのならばそうあるのだ。
つまり、片想い百合の話なんですけど。
今回読んだ【カフェたいむ】という作品は、えっぐぷらんと 様によるWeb漫画です。
ニコニコ静画さんで全話無料で読むことができます。
好きな言葉は第六天魔王織田信長というちょっと独特な世界観を持ってそうな女の子『白玉たまえ』と、カフェ部存続のために頑張ることをOBの姉に1000円で約束させられた女の子『黒蜜さくら』による片思いラブコメになります。
カフェ部存続のために部員を集める、というのが当初の目的ではありますが、部員がそろってからは―――つまり主要人物が出そろった辺りからはのんびり日常モノといった様相を呈しつつ、メインふたりやほかの人物同士の関係が深まりつつ……そんな感じで進んでいきます。
ネタバレ:ハッピーエンド
片恋が実るってそれ運命ですからして。
高校一年生の入学式―――『さくら』に一目一耳一肌一鼻惚れした『たまえ』が当日の放課後に即告白するという圧倒的スピード感から始まる学園ラブコメは、適度な狂気とあふれんばかりのカワイイによって構成されています。
お互いよく知らないし友達からなら……みたいに様式美的な関係になるわけですが、新入部員(処女ビッチとネコミミ優等生)との出会いや恋敵(ホワイトゴリラ)の出現を経てふたりの仲はゆるやかに近づいていくのです。
そしてふたりは幸せなキスをして終了―――
コーヒーでも飲んでねえと甘すぎていけねえや。
全47杯で完結となる今作は、その間に高校生活3年間を駆け抜けます。
あまりにも短すぎる……どうしてこんなひどいことができるんだ……という気持ちこそありますが、その分凝縮された百合が楽しめるので、コーヒー片手にごゆるりとお楽しみください。
何より今作は、作者様のほかの作品と比べると比較的品がいいので入門にもうってつけです。
アヘ顔ダブルピースも一回くらいしかないですしね!
とても健全だ(感覚鈍麻)。
以上、私の大好きについてでした。
次の大好きでお会いしましょう。
くしやきさんの道具箱2段目【Microsoft Word:ルビ編②】
次回って、今さー!
というわけで引き続き道具箱シリーズです。
くしやきさんが小説を書くにあたっておもちゃにしているルビ機能を、あの手この手でそこはかとなく便利にしていこうという話から。
といいますのもルビ機能、デフォではショートカットキーが登録されていません。
だから毎回毎回『ホーム』タブから目当ての項目を選んでやる必要があるのですが……それはさすがに面倒ですね。中二病全壊の異能バトルものとか。
というわけでまず、これにショートカットキーを登録してやりましょう。
ちなみにこれはルビに限らず色々な機能についても使えそうなので、興味がある方はいろいろ試してみるといいかもです。
手順いちー。
まずは『Wordのオプション』を開きます。
上のタブの『ファイル』をクリックして、現れる画面の左下のほうにたぶんあると思います。あるいはWordの検索ボックスに『オプション』と打ち込んでもたどり着けるはずです。
これらの操作を行うと求めているウィンドウが表示されるはずです。
そうしたら今度は、そのウィンドウの左にある項目の中から『リボンのユーザー設定』のタブを選択してください。
するとウィンドウの中に、あからさまに今求めているモノっぽい『ショートカットキー:【ユーザー設定(I)】』という部分があるはずです。
というわけでこれをクリックすると、晴れていろいろなショートカットキーを割り振れちゃうよ! という画面にたどり着くことができます。
あとはもうやりたい放題だぜ!
以上です。
なんてことはさすがに言いません。
ごらんのとおり、こいつは少々大変そうな感じです。
なにせ意味が分からん。
なんだこいつら。
とりあえずそれとなく漠然と説明していくと、
『分類』―――どんなことにまつわる操作なのか。
『コマンド』―――具体的になにをするか。
『現在のキー』―――割り振られているショートカットキー(あるなら)
『割り当てるキーを押してください』―――ここを選択して実際にキーボードを押下すると、その動作にショートカットを登録できます。
『保存先』―――そのオリジナルショートカットを使えるようにする場所(?)。初期で選択されている『Normal.dotm』はつまりどの文書でも使えるようにするよ! っていうことだと思います。今開いている文書だけ、とかもできるっぽい。
『説明』―――選択している『コマンド』がなにをするものなのかの説明。
それは何となく見ればわかるとしても、この煩雑な『分類』の中から『説明』をたよりに欲しい『コマンド』を選んでショートカットを登録するのは……なかなか骨が折れそうです。Wordスペシャリストは遠いぜ。
だからとりあえずいろいろ考えるのはやめにして、今回は『ルビを振る』操作のショートカットに限局したいと思います。
ルビ振りは、
『分類:[ホーム]タブ』
『コマンド:FormatPhoneticGuide』
になります。
『説明』を読むと、「作業中の文書で文字列にルビを追加します」とあって、まさに求めているものですね。
『コマンド』はアルファベット順に並んでいるので、スクロールバーの位置を頼りに頑張って探してください。
ちなみにすでに『現在のキー』が存在しているのは、私が登録したからです。
初期状態では無表示―――つまり登録がないはずです。
あとはお好みのキーを割り当てて、ウィンドウ左下の『割り当て(A)』のボタンをクリックすればそれで完了。
このとき『現在のキー』の枠の下に『現在の割り当て:~』というものが表示されますが、これは自分が今登録しようとしているボタンの組み合わせにすでに登録されている操作が表示されます。
これによって、間違って初期設定のショートカットを上書きしてしまうリスクがなくなるわけですね。または逆に、これマジいらねえんだよというショートカットを別のに変えることもできます。
無垢な場合はここに[未定義]と登録されるので、とくに理由がないならそれを狙っておきましょう。
ちなみになんとなくショートカットキーのイメージがある「Ctrl + キーひとつ」の組み合わせで[未定義]となっているのは、
「Ctrl + .」(ピリオド)
「Ctrl + ;」(セミコロン)
「Ctrl + \」(バックスラッシュ。円マーク¥も同じキー)
「Ctrl + 7~9」(数字の7~9)
「Ctrl + F7」(ファンクションキーの7)
「Ctrl + Num/」(テンキーについてるバックスラッシュ)
「Ctrl + Caps Lock」(みんな大好きキャプスロック)
「Ctrl + 半角/全角」(半角/全角切り替えのキー)
「Ctrl + 変換(無変換)」(スペースキーの横とかにある変換と無変換のキー)
これくらいだと思います。
ポチポチ押下して調べただけなので見落としとかもあるかもしれないですが。
あともしかしたらバージョンとかによって違ったりするかもしれませんが。
まあお好きにお使いください。
そんなこんなで、なんとかかんとかルビを振る動作のショートカット登録ができるようになりました。
やったぜ。
この調子でルビ遊びを語っていこう! と思っていたんですけど、思いのほかまた文字数が増えたのでお開きです。
一般的なブログの文字数を知らないので何とも言えませんが……私が多いと思えば多いのだ。
というわけで皆さんさようなら。
前回いい感じの締めを考えておくと告げたのですが、ほらでもこういう散文って逆にしまりがないほうが、ね? いいじゃないですか。
……ごめんなさい。次までには考えときます。
思いつかなかったら埋めてくれてもいいですよ。
また次回の道具箱でお会いしましょう。
くしやきさんの道具箱1段目【Microsoft Word:ルビ編①】
私が小説を書くにあたっておもちゃにした機能をぼちぼち紹介していこうかなという気持ちで建造された道具箱シリーズ第一弾。
基本的にはグーグル先生を使って一生懸命調べた知識がベースなので、こんなの読まず他の技術系ブログ呼んだほうがためになるかもしれませんが、私の記事がためになることがまず間違っているのでそれでいいのです。
今回は文書作成ソフトであるWordのルビ機能についてのお話です。
新人賞とか公募向けの文章にルビふりてぇな……という人向け。PDFで提出! なら使えると思います。
ちなみに使用しているのはMicrosoft Word 2016 64bit版でございます。Macの人はごめんな。
さてルビといえば、 『 氷雪の息吹 』のように文字の上に表示されるあれです。
こんな中二病的役割ではなく、文字の読み方を記して読みやすくするような使い方が本来のものでしょうね。
Wordのツールバーの中だと下図のところにあります。
わかりにくいですが、
紫消しゴムの『A』と捕らわれの『A』の間にある『亜』というボタンです。
ルビを振りたい文字を選択してボタンをクリックすると、ルビを振る用のウィンドウが出てくるので、後は枠に入力すればそれだけでルビを振れます。
天下のWord様には『カタカナ』や『漢字(送り仮名込み)』に自動でルビを割り振る機能というのがあって、今回のように素直な読み仮名なら自分でわざわざルビを書く必要もありません。
とても便利。
もちろん好き勝手にルビを振ることもできます。
一文字にルビを詰め込むと余白が開いちゃうので注意してね。
といったところで、みんなもルビマスター!
……といいたいところですが、残念ながらそうはいきません。
といいますのも、最初に書いたようにWord機能でルビを振りたいなーと思って試行錯誤する物書きさんは、大体が公募向けだったりといった『行・文字数が指定されている』文章を書いているだろうと勝手に思っているからです。
自分はそうです。
では実際に文章中にルビをぶち込んでみましょう。
ぱっと見でわかるこの違和感。
そう、なんとルビを差し込むと、その分行間が空いてしまうのです。
ダレ得なんだよそれ。だれがそんなことしろって言ったんだよ。
とはいえ、「さて困ったことになったぞ……」と頭を悩ませる必要は特にないです。
私がすでに悩んでいます。そして解決しています。
ようは、勝手に行間を開こうとする悪い子を矯正してやればいいわけです。
というわけで、まずは文章中の適当な場所を左クリックなんか色々出てくるメニューの中から『段落(P)』というものを選んでください。
するとなんやようわからんウィンドウが出てくるはずです。
このウィンドウをよくよく見ると、真ん中あたりに『行間(N)』という項目があります。今は『最小値』になっていますね。
ここでピンとくる人は多いことかと思いますが、ここを弄るといろいろ解決します。
ではどうするかといえば、まずクリックです。
するといろいろと出てきますが、我々はこれを固定してやりたいというお話だったので『固定値』を選択します。
こうすることで、隣にある『間隔』の数値に従って行間が固定されます。
とつぜん20ptにしたのは12ptだと狭すぎるからです。すし詰めです。
ちなみにここで間隔をいじることである程度行数を操作できるので、新人賞向けに書式合わせるのにっちもさっちもいかねえよぅという場合は藁にも縋る思いで試してみてください。
そして出来上がったのがこちら。
やったー! 行間が無駄に開いていないぞ!
と喜べる方はまあいないでしょう。
ルビ、切れとるやん……?
冷静に考えれば行間開かないと差し込めないようなルビを無理に行間詰めたらそりゃあ見切れますよねっていう。
ルビマスへの道は遠いぜ。
さてではこの場合どうするかといえば、ルビの位置やサイズを調整します。
ほかにも方法があるのかもしれませんが、とりあえずこれでMF文庫Jさんには弾かれないことが分かっていますので(私調べ)これでいいんです。
やり方ですが、フィールドコードという概念に触れます。
まずルビを振った文章を左クリックしてください。すると表示される中に『フィールドの編集(E)』というものがあるはずなのでそれをくりくり。
そうするとフィールドコードとかいうよくわかんないやつが表示されます。
コピペしてみると、こんなの。
”EQ \* jc2 \* "Font:游明朝" \* hps10 \o\ad(\s\up 9(れんしゅうむけ),練習向け)”
なんこれ? と思った方。私もです。
正直これについてわかっていることは私もあんまりないです。
ただし、ちょっとおもちゃにしてやるくらいならわからなくたって支障はありません。使うところだけを拾い上げてみましょう。
”EQ \* jc2 \* "Font:游明朝" \* hps10 \o\ad(\s\up 9(れんしゅうむけ),練習向け)”
この『hps 10』というのがルビのフォントサイズ、
一方の『up 9』というのがルビの位置を表しています。
試しに『hps 10 → 20』『up 9 → 5』というように書き換えてみます。
はい、このようにルビが大きくなって、位置は元の文字に近づきました。
どうやらこのルビの位置というのは元の文字の正中線を基準としているようで、数値を0にすると完全に重なります。
これをいじることで、行間を維持したままにルビを完全に表示できるわけです。
『行間:固定値:20pt』の設定なら、たぶん『up 7』くらいにしたらいい感じ。
とまあこんな感じで、まずまずの結果ですね。
あとはこの動作をルビを振った部分ごとにやればいいわけです。
ルビを振った部分ごとにやればいいわけです。
まあ簡単ですね!
最大150ページありますけど!
異能バトルとかだとルビ使い放題ですけど!
―――というわけで簡略化します。
ようはすべての『up 9』が『up 7』になってくればいいわけです。
そしてWordさんには文字の一斉置換というシステムがあるのでそいつを使いましょう。
そのための下準備として、まずは文章中のルビを振った文字列すべてをフィールドコードで表示します。
まずは『Ctrl と A』の同時押しで文章を全選択してから左クリックして、『フィールドコードの表示/非表示(I)』という項目を選びます。さっき使った『フィールドの表示』の下にあるやつです。
すると、文章中のルビがすべてフィールドコードになります。
悲鳴を上げないでも大丈夫です。作業は一瞬で終わります。
まずは『Ctrl と H』の同時押しで『検索と置換』のウィンドウを表示します。
そして『up 9』という文字列を検索し、それらをすべて『up 7』へと置換してしまいます。ここで要注意なのは、『up半角スペース9』になっていることです。半角スペースを忘れてはいけません。クソがよ。
『すべて置換』を押すと、文章中にある『up 9』がすべて『up 7』に置換されます。間違い探しかな?
ともあれこれで、あとはまた全選択ののちに『フィールドコードの表示/非表示(I)』をすればフィールドコードが元の文章になって、万事解決です。
……なんか重なってる気がするな。まあよし。各々いい具合を見つけましょう(なげやり)。
こういう新しいおもちゃを手に入れるとつい使いたくなってしまうのが人間というもので、ろくに文章力もねえくせにいろいろと私は遊んだりしています。
こういうのをちゃんと一行に収められるという点でルビは便利ですね。
ちなみにルビを振った文字列を太字にしようとすると元の文字列だけが太字になります。真ん中のはそれを使っているやつです。
と。
そんなこんなを書いているうちにこんな量になってしまったので、今回はここまでにしようと思います。
ルビの機能をショートカットキーに当てはめるとか、スペースにルビを振る(参考例の左みたいなの)とか、そういうところもご紹介しちゃおうかと思ってたんですけど、それはまたの機会ですね。
需要がなくてもやりますので、いつか誰かが参考にする時が……こねぇな。でもやる。私に需要があるのだよ……ッ!
ところでこういう場合の締めはどうすればいいんでしょう。
ちょっと定型文をまた考えときますね。
次回までには考えときます。
じゃあ、そういうことで。
次の道具箱でお会いしましょう。