くしやきさんが好きをお届けするブログvol.12【仕事してないキミがすき】
好きに生きるために仕事をしたり、好きな仕事に生きたり。
働き方にもいろいろとありますが、けれどいずれにせよ仕事は生きてやるものだと忘れないようにしたいものです。
生きていれば、とびきり可愛い少女と仲良くなったりすることもあるかもしれませんしね。
①概要
今回読ませていただいた【仕事してないキミがすき】は、夜桜ソラタ 様によるWeb漫画です。安定のニコニコ静画さんですよ。やったね。
27歳で仕事をしていない「きいち」と、突然一緒に住むことになった少女「ののん」の日常漫画です。
社会人を続けられなくなってしまった彼と、両親ともに過労で失った彼女……どちらもやや重めの人生を負うふたりではありますが、物語自体はそこまで重々しいものではありません。少なくとも後味はスッキリ。
それぞれに傷を負った登場人物たちがささやかな日常を通して傷をいやし、そして成長する姿を描いています。その中でシリアスな場面もいくらかは登場しますが、全体としてはとてもポジティブな作品だと思います。
物語は『仕事』によって両親を失ったののんと『仕事』をしていないきいちが出会ったことで始まっていきます。
こんなファーストインプレッションから始まったふたりの関係。
一緒に過ごす中で仲良くなるふたりのもとに、きいちの兄である『いっけい』が出張から帰ってきます。
彼がののんにただならぬ感情を向けているっぽいので、きいちはののんを護らねばと決意するのでした。
そんな三人を中心に描かれるのが今作です。
例によって例のごとくほかにも魅力的な人物との出会いが待っているわけですが、それは読んでからのお楽しみということにしましょう。
②登場人物紹介
さてまずはこの方。
仕事してないきいちさん。そのことに強い罪悪感を覚えていて、無邪気なののんの本心にときたま心臓をえぐられます。
彼はすこしまじめすぎて、そしてすこし不器用で、自分のことに鈍感なところがあります。仕事をしていない、というのはそういった部分に関係することで、そんな自分を彼はとても卑下しています。
けれど物腰穏やかで優しい彼をののんもすぐに大好きになりました。それに全体の動作は不器用でも指先はとても器用だったり、得意なことだってもちろんあるわけです。
ののんや周りの人たちはそれを知っています。
しっかりと考えて、自分の言葉を持っているところも素敵ですね。
今作における中心人物は彼です。
成長した彼が、家族や友人たちに支えられながら、前を向いて歩いて行けるようになるまでが描かれています。
そんな風に支えてくれる人がいるという時点で、彼自身もまた素敵な人であるのは間違いないことでしょう。
続いて、そんな彼を照らす太陽となる方。
過労によって両親を失ったののん。
仕事というものにトラウマを抱える彼女は、きいちが仕事をしていないことを本心からうれしいと思っています。それはたまにきいちを抉りますが、自分のためにと頑張ったから死んでしまった両親という体験は、彼女の心に深い深い傷を残すのには十分すぎるものでした。
仕事へのトラウマはきいちとののんにある意味共通していて、そしてきいちがそれを乗り越えていくこの物語の中で、彼女もまたそのトラウマと向き合うことになります。
仕事は恐ろしいけれど、しなければ生きていけない―――それを理解できるだけに敏い彼女が、どうやって折り合いをつけるていくのか……今作の要点のひとつです。
それはそれとして彼女はとてもかわいいです。
かわいいです。
はい。
見た目はもちろん中身もかわいい。
きいちのネガティブ発言を一撃で浄化する超肯定力。
自己肯定感が低すぎるきいちには こうかは ばつぐんだ!!
ともすればダメ人間製造機になりそうな彼女ではありますが、きいちにはちょうどいいくらいですね。
そのわりに微妙にフォローが下手だったりたまにドストレートにぶち抜いてきたりと、ただただ都合がよく甘いだけでないあたりがとてもかわいい。
そして最後に、そんな彼女の魅力にやられたこの方。
彼の名はロリコン。見ての通りのいっけいです。
こんなでも彼はとてもいい兄で、過去が語られるたびに印象が変わっていきます。
が、それはそれとしてののんが大好きすぎる。
いい兄だし、きいちの今を作るとても重要な人物だし、なんだかんだ優しいし頼れるしかっこいいんだけど、それはそれとしてののんが好きすぎて手錠を構えておきたくなる。
2 人は太陽に近づきすぎると脳から溶けるらしい。
コミュ強のアクティブロリコンとは彼のこと。
ただなんども繰り返しますが、彼は最高にいい兄なんです。
ほんとに。
だからとりあえずせめて3話、それから15話くらいまでは通報しないで上げてください。そのあとはまあ……止めませんが。
③見どころ
こんな三人を中心に描かれる今作。
見どころとして挙げたいのは、登場人物たちです。
今作の登場人物たちはみんな、とても優しい人達ばかりです。
けれどその優しさの形は誰もが違っています。
そして相反する感情の葛藤だとか、一種の理不尽さだとか、悩みだとか、考え方の違いだとか、彼らの持つそういったものが、とても生きています。
彼らの言葉はどれも彼らの言葉なのだという納得感と説得感があります。
だからその関わりの中で成長する姿にはリアルがあって、自然と応援したくなるし、みんなのことをたまらなく大好きになってしまいます。
作品としても、登場人物たちとしても、愛さずにはいられない。
そんな魅力が今作にはあります。
物語を作るのはやっぱり登場人物なんだなぁと、そう強く思う、とても優しい物語です。
そんな【仕事してないキミがすき】は、改めて言いますが、無料で読めちまえます。
しかも今作の番外編、思い出話という体で語られる短編集【といろフィルム】もまた同じく読めちまえます。
読者ひとりにつき100円稼げるシステムとかもないのに……
もっとギフトとか募集して……ええんやで……?
もちろんお金を出さずとも、『読んで、感想を伝える』というだけでもきっと創造神様方の原動力にはなるはずです。みなさんも軽率に信仰していきましょう。
なんの宣伝だよ。
ところでひとつ注意です。
ニコニコ静画には、動画と同じくコメントが画面を流れるというシステムがあります。これはなんだかみんなでわいわいやっている気分で悪くないですが、今作においては―――少なくとも序盤は、コメントは非表示にしていることをお勧めします。
なにせ『仕事』という誰あれ彼あれ思うところある題材ですから、少々白波が立っております。中には多分気分を悪くされる方もいらっしゃると思いますが、そんな些細なことでこの名作を読み逃すのはとてもバカらしいことですから。
そんなこんなで。
以上、私の大好きについてでした。
次の大好きでお会いしましょう。
さて、神へのお供えのために働くぞっ