娯楽感想文

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くしやきさんが好きをお届けするブログvol.2【地球制服エイリアン】

 あまりに唐突なことで心停止してしまう人もいるかもしれないけれど、人類にとって極めて重要なことについて話そうと思う。

 

―――学生百合って、あるじゃないですか。

 

 百合の中でも学生同士の、瑞々しい青春が目にまぶしいやつです。

 浴び続けると百内障になってあらゆる女子生徒どうしの絡みが百合に見えてくるというとても危険なジャンルではありますが、今回私が読んだ【地球制服エイリアン】もまたそういう代物です。

 

 高校二年の夏の終わり―――

                  放課後の屋上で―――

     ―――宇宙人に出会いました。

 

 そんな感じの冒頭から始まる短編学生百合漫画です。

 正確にはニコニコ静画の『百合の短いの集』というものの一部になります。

 著者は 有頂天個人 様。ニコニコ漫画や氏のtwitterなんかで読むことができます。

 本当は今回その有頂天個人 様そのものについて語ろうかと思っていたのですが、あれもこれもとやっていてはキリがないのでとりあえず、私がこの方を知るきっかけとなった一作について語ります。

 

 さてまず、私を「好きかも……っていうか好きだなぁ」から「しゅきぃ……♡」に堕とした1ページを画像をお借りして紹介させていただきます。

fig.1 テスト明けになにげない会話をする女子高生の図
ニコニコ静画 『百合の短いの集』”地球制服エイリアン(前)”より)

 これはとても何気ないコマで、実はとても複雑な伏線が……とかそういうことはないです。

 ただ私はこういう何気ない会話で親しさを見せつけられるとたまらなくなってしまう人種なので、この吹き出し6つが致命傷だったというお話です。

 そしてこの作者様は、こういう何気ない会話をそれはもう当たり前のようにちりばめます。会話に限らずちょっとした絵の変化だとか、そういう繊細に散りばめられたものがたまりません。

 目を見張るドラマティックな演出だとか、溜めに溜めて見開きドーン! みたいなのはむしろ少なくて、けれど時間経過の中で「あ、ふたりの関係はこう変わってるんだな」とすごい伝わってきて、そこにたまらない説得力と物語を感じるのです。

 今作は短編の中で一年という時が経過していて、途中には季節の移り変わりを歩むふたりを吹き出しもなく描くようなシーンがあったりします。

 夏の終わりと夏始まり―――そのふたつの地点のふたりを並べて比較してみるだけで、人類は語彙力を喪失することになるでしょう。

 なりました。

 

 しゅき……♡

 

 ところで今作、なんとただの学生百合ではありません。

 主人公ふたりの片方―――fig.1だと右の黒髪の女子は、実はエイリアンなのです。

fig.2 衝撃の事実が明らかになる1ページ目の図
ニコニコ静画 『百合の短いの集』”地球制服エイリアン(前)”より)

 曰く「地球の制服がかわいいから」という理由で地球にやってきた彼女ですが、実は秘密の任務を抱えていて……秘密を打ち明けられないまま傍にいることの罪悪感や、自分の中に芽生えた感情と任務との板挟みで苛む葛藤、そして最終的な彼女の結論結末は学生百合とだけ呼ぶわけにはいきません。

 ただそのどれもが、大いなる意志だとか大層なことではなく、宇宙人も含めた人間の内や中で動いています。

 そしてこの作者様は、人間同士の関係の最たるものである会話だとか、些細な動作だとかそういうものがとても素敵です。

 つまりどういうことかといえば、

 

 しゅき……♡

 

 もしもあの吹き出し6つが刺さった方がいらっしゃいましたら、ぜひ有頂天個人 様の他作品も読んでいただくことをお勧めします。

 絶対に損はしないことでしょう。

 

 以上、私の大好きについてでした。

 次の大好きでお会いしましょう。